公開日:2025.9.27カテゴリー:印鑑について
更新日:2025.9.9
離婚届を前にして、「実印は必要なのかな」「どの印鑑を使えばいいんだろう」と悩んでいませんか。
大切な手続きだからこそ、小さな疑問でも不安に感じてしまいますよね。
実は、離婚届の押印に関するルールは以前と変わっており、実印は原則として不要になりました。
しかし、押印が求められるケースもゼロではありません。
今回は、離婚届への実印の必要性について、疑問を解消する情報をご紹介します。
状況に合わせた正しい判断ができるよう、具体的なケースごとの基準についても触れていきますので、ぜひ最後までご覧ください。
離婚届への実印押印は原則不要に!それでも悩む理由とは
押印の義務が廃止された背景
2021年9月1日より、戸籍関係の届出における押印義務が廃止されました。
これにより、離婚届についても原則として押印は必要なくなりました。
この変更は、行政手続きを簡素化し、国民の利便性を高めるために行われたものです。
しかし、なぜ今でも多くの人が「印鑑は必要?」と悩んでしまうのでしょうか。
その背景には、法改正以前のルールや、いくつかの例外的なケースが存在します。
旧様式での提出など、例外的に押印が必要になるケース
押印義務が廃止された後も、自治体によっては印鑑を押す欄が設けられている古い様式の用紙を配っている場合があります。
このような旧様式の離婚届を使用する場合、押印が必要となることがあります。
また、署名欄に氏名の記入がないなど、一部の特殊な状況下では印鑑が求められることもあります。
こうした例外的なケースがあるため、押印の必要性に戸惑ってしまう人が少なくないのです。
離婚届に実印は原則不要。認印でOKな理由
実印と認印の違いを知っておこう
まず最初に、印鑑の種類について整理しておきましょう。
印鑑には大きく分けて「実印」と「認印」の二種類があります。
実印とは、市区町村の役所に登録されている、公的効力を持つ印鑑のことです。
登録されているため、本人が確かにその印鑑を使用したことを証明することができ、不動産の売買契約や重要な契約書類など、法的効力が求められる場面で使用されます。
一方、認印は印鑑登録をしていない、日常生活で使用される一般的な印鑑です。
宅配の受領印やちょっとした書類への押印など、日常的な用途に使われます。
実印と認印では、法的効力や使用される場面が大きく異なる点を理解しておくことが大切です。
実印は確かに重要な場面では必要ですが、離婚届に関してはそのような公的証明力は求められません。
離婚届に押印する印鑑に法的な定めはない
離婚届に使用する印鑑については、法律上で特に定められていません。
そのため、実印である必要はなく、普段使用している認印でも問題なく受理されます。
シャチハタや三文判といった一般的な印鑑であっても、離婚届の受理に影響することはありません。
届出の際の押印は、本人が署名したことを確認するための形式的な手続きであり、印鑑の種類が法的効力を左右するわけではないのです。
なぜ離婚届に実印が不要なのか
離婚届は、そもそも署名さえあれば受理される手続きです。
印鑑はあくまで本人確認の補助的手段であり、法的に必須ではありません。
過去の法改正以前から、離婚届は本人の署名によって成立するとされてきました。
つまり、印鑑の押印がなかったとしても、本人が自らの意思で作成した離婚届であれば、法的に有効と認められるのです。
このように、離婚届においては「実印は不要」「認印で十分」という仕組みになっているため、日常的な認印を使っても安心して手続きを進めることができます。
実印が離婚届に必要になるケースと不要なケースの判断基準
離婚届の提出様式で判断する
離婚届に実印が必要かどうかを判断する最も簡単な方法は、手元にある離婚届の様式を確認することです。
通常、離婚届には署名や押印欄が設けられており、その欄があるかどうかで必要性がわかります。
もし押印欄がまったく存在しない場合には、印鑑自体を押す必要はありませんので、認印も実印も不要です。
一方で、離婚届に印鑑欄が記載されている場合は、通常の認印を押せば手続きとして十分です。
実印が必要となる場面はごく限られており、離婚届そのものに関しては基本的に認印で対応できることがほとんどです。
この点を理解しておくことで、手続きの際に過剰に準備する必要がなく、スムーズに提出できます。
夫婦間の取り決めで判断する
離婚の際に金銭や財産に関する取り決めを行う場合は、状況によって実印と印鑑証明書が必要になることがあります。
例えば、離婚後の財産分与や慰謝料、養育費に関して公正証書を作成する場合、契約の効力を正式に担保するために実印での押印が求められます。
このように、離婚届そのものには実印が不要でも、夫婦間の取り決めを文書として公的に残す場合には実印が必要となる可能性があることを知っておくことが重要です。
離婚届とは別の手続きで実印を用意する必要があるケースもあるため、手続き全体を見渡して準備しておくと安心です。
養子縁組の解消などで判断する
離婚と同時に養子縁組を解消する手続きを行う場合には、実印の使用が必要になることがあります。
養子縁組の解消は戸籍上の重要な変更を伴う手続きであり、実印と印鑑証明書を提出することで、手続きの正当性が証明されます。
そのため、離婚届の提出だけでなく、戸籍に関するその他の手続きや変更が関わる場合には、事前に実印の必要性を確認しておくことが重要です。
こうした手続きをスムーズに進めるためにも、どのケースで実印が必要となるのかをあらかじめ把握しておくことが大切です。
離婚届の印鑑に関するよくある疑問と対処法
離婚届の証人欄に押印する印鑑について
離婚届には証人欄が設けられており、かつては証人の押印も必須とされていました。
これは、離婚の成立に際して証人が内容を確認したことを公的に示すためのものです。
しかし、法律や手続きの簡略化に伴い、現在では証人欄への押印も原則として不要となっています。
つまり、証人は署名のみで離婚届の提出が可能です。
ただし、旧様式の離婚届を使用する場合は例外で、証人の押印が必要となることがあります。
その際には、証人が使用する印鑑について特に厳密な制限はなく、実印である必要はありません。
一般的な認印でも問題なく受理されますので、印鑑の準備に困ることは少ないでしょう。
離婚届に押印した印鑑を紛失した場合
もし万が一、離婚届に押した印鑑を紛失してしまった場合でも、過度に心配する必要はありません。
離婚届自体の受理において、押印した印鑑が存在しないことが理由で手続きが止まることは基本的にありません。
そのため、再度登録や特別な手続きを行う必要もないのが一般的です。
印鑑の紛失は心理的な不安を招くかもしれませんが、法的な影響はほとんどないと理解しておくと安心です。
提出後に押印ミスが発覚した場合
離婚届を提出した後に押印の位置がずれていたり、にじんでしまった場合でも、修正は可能です。
具体的には、訂正印を押すことで印鑑ミスを正すことができます。
訂正印に使用する印鑑は、必ずしも届出に使ったものと同じである必要はありません。
また、役所から「印鑑が不鮮明で読みにくい」と指摘されるケースもありますが、その場合も同様に訂正印を用いて修正することができます。
こうした対応が可能であるため、押印ミスや印鑑の状態に関する心配は、実務上大きな問題にはならないと考えられます。
安心して手続きを行うことができるでしょう。
まとめ
この記事では、離婚届に実印が必要かどうかについて解説しています。
2021年9月1日以降、戸籍関係の届出における押印義務が廃止されたため、離婚届も原則として押印は不要になりました。
ただし、旧様式の届出用紙や特殊なケースでは、認印が必要となる場合があります。
夫婦間の取り決めで公正証書を作成する際など、離婚届とは別の手続きで実印が求められることもあります。
離婚届の提出をスムーズに進めるためにも、事前に必要事項を確認しておくことが大切です。