公開日:2021.5.10カテゴリー:印鑑の種類について
更新日:2025.7.31
印鑑をこれから作る人へ!インクの色について紹介します!
季節が変わり印鑑が必要になる場面が増えてきていますよね。
印鑑は朱肉がない状態では使えないので買う時には朱肉と一緒に購入される方が多くいます。
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さて、印鑑を使用する際の色について疑問に思われたことはないでしょうか。
ここではインクの色について紹介します。
購入の際にはぜひ参考にしてみてください。
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目次
色について知っておこう!
銀行の開設や契約などの重要な場面で必要になる印鑑ですが、印鑑とは別に朱肉が必要です。
朱肉は印を押す際に赤く色づける役割を担っています。
一般的に朱色が使用されていますが、朱色以外でも印を押すことは可能なのかについて疑問に思ったことはないでしょうか。
実際には印鑑に使用されるインクの色にはさまざまな種類があります。
インクの色は法的には定められておらず何色でも問題はありません。
思い返してみると書類をファックスで送る際は原本に朱色で印鑑を押してもモノクロを選択すると黒色になってしまいます。
しかし、このような場合でも書類としてしっかりと受理してもらえています。
ここからわかるように、印鑑の色は朱色に限定はされていないのです。
よく目につく印の色は印刷後の黒色や鮮やかな朱色ですよね。
世の中には虹色の印を押しても問題がなかったという例もあるようです。
印鑑は指定されない限り何色でも使用可能ということです。
印鑑はなぜ朱色を使用しているのか?
ここまでは印鑑の色について紹介しました。
法律上では色に縛りはなく自由なことを理解できたと思います。
それではなぜ、印鑑は朱色をしているのでしょうか。
ここでは、なぜ朱色が使用されているのかについて紹介します。
1.「神の力」
印鑑は紀元前5000年頃のメソポタミアで生まれたといわれています。
その時代では、現在のような形の印鑑は使用されておらず、円筒形の外周部分に絵や文字を刻み、これを粘土板の上に転がしていました。
印を捺す理由は、印には聖なる力が宿っていると考えられていたため、印によって所有物を守ってもらうためでした。
封印という言葉があるように、封をしておけば守られます。
また、朱色は太陽や炎といった神を連想させることから神聖な色とされていました。
このような理由から印は朱色を使われているようです。
2.鮮やかであるから
単純なように聞こえますが、朱色は圧倒的に鮮やかで目につきやすいです。
古くから文字を書くときには、墨などの黒色のものが使われており対照的な朱色が好まれました。
朱色は対照的な色であることや、長い年月が経過した際にも変色する可能性が低いことが使用される理由です。
3.高貴な色
中国で朱色は古くから高貴な色とされていました。
歳月に関係がなく鮮やかな色が続くことから、黄金の不老不死の色として使用されていました。
さらに日本でも朱色は高価なものとされていたため、中国が文化の先進国であった当時、それを用いることは珍しくありませんでした。
ここまで、印鑑が朱色である理由をご紹介しましたが、本来の朱肉の原材料が何かをご存じでしょうか。
朱肉の原材料は、
- 顔料
- 油
- 繊維質
現在は猛毒であるため使われていませんが、縄文時代以降、水銀朱が使用されていました。
水銀朱は、正式名称で言うと「赤色硫化第二水銀」と言います。
その独特な赤色が親しまれて使われていました。
中国の辰州で沢山産出されていたので、「辰砂(しんしゃ)」とも言われています。
水銀朱のほかにも、弁柄(べんがら)とも呼ばれる酸化鉄赤や鉛など、金属系の顔料も利用されましたが、水銀朱以上に綺麗な朱色はで作られませんでした。
さらに、水銀朱はただ綺麗というだけでなく長い間色褪せないという魅力もあり、非常に貴重なものとして扱われていました。
よく神社やお寺で朱色が使われているのを目にする方は多いでしょう。
また、東大の赤門も朱塗りですよね。
それは、昔から貴重なものと位置付けられていたことが影響しています。
また、水銀朱は不老不死にも効くと言われていたので、秦の始皇帝は長く生きたいという願望から水銀朱を飲み中毒死したと史書に残されています。
中毒死を引き起こすほど猛毒な水銀は今では使われなくなりましたが、先ほどご紹介したような人工物の朱肉が使用されるようになりました。
インクの種類や特徴について!
ここまでは印鑑に朱色が使われている理由について紹介しました。
印鑑は古くから存在するものであるため縁起が良く神聖なものだという考えがありました。
一般的に広く使われているインクは今も昔も朱色ですが、インクにはいくつか種類があります。
そこでここでは、インクの種類や特徴について紹介します。
また、朱肉の種類についてもご紹介します。
*水性インクの特徴
水性インクは不純物が少ない精製水を使用してつくられたインクです。
そのため匂いが少なく粘度が低いです。
水性インクの特徴は、扱いやすい一方で乾くのに時間がかかるためしっかりと乾くまで待つ必要があることです。
また、水性であるためビニールに書いてもはじいてしまい色がつきません。
*油性インクの特徴
油性インクは有機化合物が含まれている溶剤で作られています。
水性インクとは違い、印字はすぐ乾くため手でこすれてしまう心配はありません。
また、ビニールにはじかない性質であるため印字が可能です。
しかし、粘度が高いことから扱いにくいという難点もあります。
*不可視インク(インビジブルインク)
不可視インクは特殊なインクであり、自然光では見えずUVランプを照射することで青く光るアルコールベースのインクです。
これは優れた固着力を備えており、非浸透面での印字に適しています。
主な用途例としては、光沢紙、金属、プラスチックなどで使用されます。
*紫外線硬化インク
UVインクとはUV光(紫外線)を照射させることで固まるインクを称します。
UVインクは、水に溶けないことから多彩なメディアへの適正と耐久性、高い速乾性による短納期への対応などが評価され出荷量は近年増加傾向です。
ノベルティや、タッチパネルのインサートフィルムやスイッチへの印字などに適しており用途に応じて使用できるインクです。
ここまでインクの種類をご紹介しましたが、朱肉にもさまざまな種類があります。
朱肉は、印肉とその容器を含めた総称です。
プラスチック製の容器に入っているものや、スポンジタイプの朱肉もあります。
ここからは、「スポンジ朱肉」「印泥」「練朱肉」の3つの朱肉の種類をご紹介します。
1.スポンジ朱肉
スポンジ朱肉は、朱色の顔料を松脂と混ぜ、朱油を絞ってインク状にしたものをフェルトやスポンジに染み込ませたものです。
スポンジ朱肉は、朱油がムラなく均等に吸着するので、押印が容易になります。
また、乾きが早いので手に朱肉がついてしまう心配もありません。
専用の朱油も販売されているので、補充も簡単にできます。
しかし、印影に厚みがないので鮮明さが足りないところがデメリットです。
2.印泥(いんでい)
印泥は、中国の辰州(しんしゅう)で産出された辰砂(しんしゃ)という赤い鉱物を粉末にし、水で溶いて、ヨモギの繊維とヒマシ油を混ぜて作られる伝統的な朱肉です。
色合いは、黄みがかった「黄口(きぐち)」や赤みのある「赤口(あかぐち)」が一般的です。紫外線にも強く、退色しにくいため、印影を長期間美しく保つことができ、重要書類などにも適しています。
3.練朱肉(ねりしゅにく)
練朱肉は、印泥と同じく伝統的な朱肉の一種で、日本での起源は印泥にあります。
作り方は、ヒマシ油に松脂や木蝋(もくろう)を加えて加熱し、粘り気のある朱油を作成。そこに顔料と和紙を加えて練り上げることで完成します。
練朱肉も保存性に優れており、鮮やかな色味が長持ちすることから、印泥と並んで重要な場面で使用されます。
印泥・練朱肉の共通するデメリット
印泥や練朱肉のような伝統的な朱肉には、いくつかの注意点があります。
- 高級品ほど劣化しやすく、定期的にヘラでかき混ぜて泥質を整える必要があります。
- 印面に朱肉をうまく付けるのが難しいため、慣れないうちは人差し指に朱肉をつけてから、指で印面に塗ると良いでしょう。
- 押した後の乾きが比較的遅いため、印影が滲まないように注意が必要です。
やや扱いにコツが必要ですが、発色が美しく、しっかりとした印影が得られるため、一度使ってみるとその良さに驚くかもしれません。
まとめ
今回の記事では、印鑑に使われるインクの色の自由さや、一般的に使用されている朱色に込められた神聖な意味についてご紹介しました。
印鑑は重要な場面で使用されるものですが、インクの色には法的な制限がなく、自由に選ぶことができます。
この記事を通じて、印鑑に関する理解が少しでも深まったのであれば幸いです。
印鑑や朱肉についてお悩みの方は、ぜひ一度当社までお気軽にご相談ください。